ピロリ菌の話

2013/09/21 0:14 に 中島イイン が投稿   [ 2013/09/24 0:56 に更新しました ]

ピロリ菌ってどんな菌ですか?
 

ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリという細菌で、1983年にオーストラリアのウォレンとマーシャルによって発見されました。ピロリ菌が胃・十二指腸かいようなどの原因になっていることがわかり、ウォレンとマーシャルは2005年にノーベル医学生理学賞を受賞しています。

ヘリコバクター・ピロリ(通称ピロリ菌)名前の由来

「ヘリコ」:らせん・旋回

「バクター」:バクテリア(細菌)

「ピロリ」:胃幽門部(ピロリス)
 
ピロリ菌はどうして胃の中でいきていられるのですか?
 
胃の中は胃酸がでているため、通常の菌はしんでしまいます。ピロリ菌は特殊な酵素をもっており、アンモニアを発生して、胃酸から身を守っているため、胃のなかで生きることができます。
 
ピロリ菌はどのような疾患をおこすのですか?
 

ピロリ菌に感染すると全員がヘリコバクター・ピロリ感染胃炎を引き起こします。

ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎は慢性活動性胃炎ともいわれ胃粘膜に多数の白血球の浸潤を伴う胃炎です。

ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎は消化性かいよう、胃MALT(まると)リンパ(りんぱ)(しゅ)、機能性ディスペプシア(FD)、胃ポリープ、特発性(とくはつせい)血小板(けっしょうばん)減少性(げんしょうせい)紫斑病(しはんびょう)ITP)を引き起こし、萎縮性胃炎を経て一部は胃がんを起こすことがしられています。
 
ピロリ菌はどのように感染するのですか?
 

どのように感染するのかはっきりわかっていませんが、口から感染するのが大部分であると考えられています。

衛生環境と関連していることが報告されていて、感染する機会は減っていると考えられています。
 
ピロリ菌はどのくらいの人が感染しているのですか?
 

日本人のピロリ菌感染者はおよそ3500人といわれています。

ピロリ菌は特に50歳以上の人で感染している割合が高いとされています。

しかし、衛生環境が整ったことによってピロリ菌に感染している割合は減少しており、若い世代では低くなっています。今後はますますピロリ菌に感染している人は減っていくと予想されています。
 
ピロリ菌は胃・十二指腸かいようと関係があるのですか?
 

ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こすことが確認されています。胃・十二指腸かいようの患者さんでピロリ菌を検査すると、約90%の患者さんがピロリ菌に感染していて、ピロリ菌が胃・十二指腸かいようの原因になっていることがわかっています。

ピロリ菌がいる場合には1度かいようの治療をしても1年後には60%以上の患者さんが再発してしまいます。

ピロリ菌を除菌することによって胃・十二指腸かいようの再発率は著しく低下することが認められています。
 
ピロリ菌は胃・十二指腸かいようの他にどのような悪さをするのですか?
 

代表的なものとしては胃がんとの関連性が指摘されています。

ピロリ菌に感染している人と感染していない人に対して10年間調査を行ったところ、感染している人では2.9%に胃がんが発生したのに対し、感染していないひとでは胃がんは発生しなかったという研究報告があります。

胃がん、萎縮性胃炎などに加え、消化器以外の疾患でも血小板減少性紫斑病、貧血、蕁麻疹(じんましん)などとの関連が示唆されています。
 
早期胃がんで内視鏡的治療をした後に除菌治療をするとどのようなメリットがありますか?
 

早期胃がんで内視鏡的治療を受けた患者さんの予後は良好です。

しかし健康な人と比べると、胃がんの再発リスクは高いと考えられています。

ピロリ菌は発がんリスク因子の一つのため、ピロリ菌に感染している早期胃がんで内視鏡治療を受けた後の患者さんに除菌を抑制され、再発を予防する効果があります。
 
ピロリ菌は胃MALT(まると)リンパ(りんぱ)(しゅ)と関係があるのですか?
 

MALTリンパ腫は胃に発生する悪性度の低いリンパ腫という病気です。

MALTリンパ腫の患者さんの約90%はピロリ菌に感染しており、ピロリ菌の感染による慢性胃炎が原因であることがわかっています。国際的なガイドラインにおいても、ピロリ菌の除菌が第一選択の治療法で、ピロリ菌の除菌により60~80%が改善します。改善した場合の長期予後は良好です。
 
ピロリ菌は特発性(とくはつせい)血小板(けっしょうばん)減少性(げんしょうせい)紫斑病(しはんびょう)ITP)と関係があるのですか?
 
ITPは、明らかな原因や疾患なしに血小板が減少してさまざまな出血症状を起こす病気で、ピロリ菌の感染率は60%です。原因はまだ解明途中ですが、ピロリ菌に感染している慢性(6ヵ月以上)のITP患者さんに除菌を行うと、40~60%で血小板が増加し、効果は長期間維持されます。
 
ピロリ菌の検査はどのようにするのですか?
 
内視鏡検査を伴う方法
 

内視鏡で胃の組織の一部を取って、次のいずれかの方法で検査します。

l  培養法(ばいようほう)

ピロリ菌を培養します。

l  迅速(じんそく)ウレアーゼ法(          ほう)

ピロリ菌がもつウレアーゼのはたらきで作られるアンモニアの有無を調べます。

l  組織鏡検法(そしききょうけんほう)

顕微鏡でピロリ菌がいるかどうかを調べます。
 
内視鏡検査を伴わない方法
 

l  尿素(にょうそ)呼吸器(こきゅうき)試験法(しけんほう)

呼気(吐き出した息)を採取してしらべる方法です。

ピロリ菌がもつウレアーゼのはたらきで作られる二酸化炭素の量を調べます。

l  抗体(こうたい)測定法(そくていほう)

尿や血液のピロリ菌にたいする抗体の有無を調べる方法です。

l  抗原(こうげん)測定法(そくていほう)

糞便中のピロリ菌抗原の有無を調べる方法です。
 

保険適用病名:胃・十二指腸かいよう、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、

早期胃がんにたいする内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の患者さんです。

 

ピロリ菌の除菌治療はどのようにするのですか?
 

2種類の抗生物質と胃酸を抑えるおくすりの3種類のおくすりを朝と夕方の1日2回1週間しっかりと続けてのむことで約70%~80%の患者さんはピロリ菌を除菌できます。

1回目の除菌治療で除菌が出来なかった場合にはおくすりを変えて再度除菌治療を行うことが可能です。

2回目の除菌治療では約90%の患者さんで除菌できます。

除菌が成功したかどうかは除菌治療終了後4週間以上あけて検査をすることでわかります。

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