肝臓病の治療法

投稿日: 2010/06/29 6:15:30

A型肝炎の治療法

生水(氷)、生鮮食物(生ガキなど)の経口感染によって発症します。

我国ではA型肝炎ウイルスに対する抗体保有率は低下しているので海外旅行の際にはワクチンを接種する必要があります。潜伏期は2~4週で発熱、咽頭痛など感冒様症状を伴った肝障害を来します。特殊な治療法はありませんが、肝を庇護することで通常は慢性化しません。

B型肝炎の治療法

(1) B型急性肝炎は水平感染によって生じ、sexually transmitted disease(性感染症)としてとらえられていますが、Genotype(遺伝子型)別に治療法が異なります。最近、日本に増えてきたGenotype A(欧米型)は遷延化、慢性化しやすい傾向があります。しかし、インターフェロン(IFN)がよく効くので早目にIFN治療が必要です。一方、本来、日本・東アジアに多いGenotype Cの慢性化は稀ですがIFNは有効ではありません。Genotype別に治療法を選ぶことが重要です。

(2) B型慢性肝炎は多くは垂直感染(母子感染)で生じます。厚生労働省がガイドラインを作っており、HBe抗原、HBe抗体、年齢によって治療法が異なります。医療費の助成対象になります。

C型肝炎の治療法

(1) C型急性肝炎はIFNで90%以上が治癒します。

(2)C型慢性肝炎では、やはりGenotypeが重要です。日本ではやや少ない(30%)2a型であればIFN治療で90%がHCVを排除でき、事実上の治癒となります。日本で70%を占める1b型はやや治療が難しい面があります。ヒト側の遺伝子IL-28B領域の一塩基多型(SNP)、ウイルス側の遺伝子コア70AA ISDR領域の変異数などが治療効果を左右する要因として重要です。年齢、性、肝臓の線維化の程度なども考えて治療法を選択する必要があります。治療のほとんどは医療費助成の対象となります。

肝硬変

肝臓の働き(予備能)が低下するとともに肝臓癌発生のリスクが高まるのが問題です。肝臓の予備機能を減らさないようにして発癌リスクを下げるとともに、定期的に肝臓の画像診断を行って、もし、発癌したら、早期発見し、早期治療を行って再発を防ぐ努力が必要になります。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

NASHはウイルスではなく、非飲酒者におこる脂肪肝(NAFD)に2次的な要因(second hit)が加わった時に生じるのがNASHです。肝繊維化が進み、肝硬変に進行することがあり、肝癌発生のリスクも高まります。現在のところ確定診断は肝生検による肝臓の組織像によりますが、もっと簡単に診断するための研究が進行中です。